八海山 池ノ峰北尾根 P718北西ルート 2021/1/26

大倉橋西詰8:14・・・北西ルート取付の沢9:00・・・下部アセビ帯9:50・・・
  上部アセビ帯10:37・・・718mピーク11:12-21・・・最低鞍部11:25・・・林道12:09





2018年2月に池ノ峰北尾根を登った時、718のピークまで金山橋側の北東ルートから取り付いたのだが、所々雪が落ちていて稜線に上がるところで結構苦労してしまった。
718のピークから最低鞍部を通過し、850mの崖の上から北西の尾根を見た時、あの尾根の方が楽なのではと思い、以来ずっと気になっていた。

昨日、対岸のヨモギ山からこちらを見た時、ここの北面はちょうど正三角形で、そうすると東も西も45度の傾斜ということになり、登れるんかなと思っていた。
しかも、八海山はとにかく至る所に大岩があってそれが崖となっているところが多く、細く狭い尾根では困難を極める。

当日、朝起きたら腰痛が出、出掛けには愛猫に抱っこをせがまれ、厳しい行動になるかも知れないのにモチベーションはがた落ち。こんな時の呪文は“行けるとこまで行ってみるべ”だ。

予想した通り今朝は凍み渡り(雪面がクラストした状態をいう)。林道はワカンを履かなくても埋まる事無く楽に取付の沢に着く。
快調に来たのでアイゼンだけ着けて右から取り付くが、斜面になったら膝までズボッと入った。急登では上空からの冷気を100%受けられず、しかも葉が落ちた木々の下でも同じで、自然の微妙さを改めて感じた。

デブリの末端のところで左岸から右岸に移り、目的の尾根の末端らしいところを登って行く。
何回かの偵察で、上部と下部に常緑樹帯がありそこを登るのがベストだと考えていたが、尾根に取りついてすぐ左上に常緑樹の林が見えた。常緑樹の尾根の末端までだましだましアイゼンだけで来たが、ここからは雪がグサグサでどうにもならずアイゼンの上にワカンを履く。
ヨモギ山から見たほど急ではなく、しかも常緑樹の尾根は安心感があった。

下部常緑樹帯を抜けて30分くらいで上部常緑樹帯が見えた。この辺りで右手にP718から池ノ峰に向かう最低鞍部が、目線より少し上くらいに見えたので、目指すP718が近いことがわかりテンション急上昇。
上部常緑樹帯に入ると傾斜が落ち歩き易かった。ふと何の木かなと思った瞬間「アセビ」という名前が浮かんだ。知っていた訳でもなかったが家に帰って調べたらやはりアセビだった。

アセビ並木は、北東ルートと合流してからも718のピーク下まで続き、お陰で登攀という場面は全くなく楽に来てしまった。ここも好展望地でゆっくりしたかったが、すでに駒ヶ岳の空はどんよりとしてきたためそそくさと下山開始。

計画では往路下山のつもりだったが、アセビの尾根は雪が少なくクラックにはまる危険性が高く、登って来る時に、最低鞍部から沢を下山することを考えていた。この沢のことは2018年の時、条件が合えば登下降が出来そうだと思っていたが、当然、雪崩の危険性は考えられた。
幸いなことに今日は、急傾斜の斜面に付いていた雪はほとんどが雪崩れており、しかも沢の中に小尾根が襞のようにあり比較的安全と判断して沢を下った。
約3時間かかった登りも45分で下りてきた。

無雪期はものすごい藪でどうにもならない尾根も、この時季は素晴らしいルートを提供してくれる。そしてそうしたルートを登るには、日々変化する天候や雪の状態を読むことが大事で、より自然との対話無しでは登ることはできない。

アセビの木はすごく丈夫そうで、ヤブ漕ぎの時は厄介な木になりそうだが、今回、アセビ並木が導いてくれたお陰で安全に楽しく登ることができた。
感謝を込めてこの北西ルートを私は「アセビ尾根」と呼びたい!!