1ヶ月前に駒ノ小屋に置いて来たというAさんのボード回収の連れと言いつつ、目的はタケノコ採り。しかも1人の駒は恐いのでいい口実が出来た。 Aさんの真っ赤なエクストレイルに乗せてもらい枝折峠へ。道すがら残雪と新緑の眩しい山々に初夏を感じる。
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小倉山分岐から |
枝折から暫く行って驚いた。いつもの泥々の道には木道が敷いてあるではないか。昨年敷設したようだが百名山はやはり待遇が違うのかな。
小倉山の分岐にはまだかなりの雪が残っていた。
これは期待できそうだと、百草ノ池手前から竹薮に入るが伸びたものばかり、それでも白沢ノ頭に上がるまでに50本くらい採取し、先に行ってもらったAさんを追いかける。
小屋裏の斜面はまだ多くの残雪で覆われており、お陰で冷たい水をいただく事が出来た。
何度も来ている山なので、最近はほとんど山頂に上がっていないが、今日は久し振りに山頂まで登ってみようと思っていた。
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実は先日、家の周りの草刈りをしていたら隣の爺さんにお茶に誘われた。
とりあえず前の方だけ刈り終わったので快くお誘いを受けた。
炭の堀ごたつに入って、お茶を1杯飲んだところで婆ちゃんが「八海山がまだちっと余っている」とか言って、こちらの意向にお構いなく一升瓶を持って来てコップに注いでくれた。
ここんちんしょは2人ともアルコールは駄目なたちで、「はちゃまぁ」ということでご馳走になる。そうするといつも昔話が始まるのだが、これがいつも結構面白い。
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爺 : オラァ若い頃はオカメの下でウドをごうぎとったもんだて。
(確かにオカメ沢の出合には、少し小高くなったような所があったような気がする)
私 : オレも若い時オカメ沢を登った事があるて。
爺 : ソラァごうぎだ。
私 : イヤァ上に上がるとごうぎ急でそぉ
爺 : オカメノゾキってあんな、大昔アメノウズメがサルタヒコを追いかけて来て、サルタヒコは駒まで
逃げて来たのを、あそこでのぞいて捜したって言う話だがほんとかどうか・・・。
(ということは、オカメノゾキのオカメとはアメノウズメのことか)
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信憑性はともかく駒ヶ岳の頂上には確かに神様の銅像が祀られている。神話では、天宇受売命(アメノウズメ)はあの天照大神が天岩戸に隠れた時、外でセクシーダンス(私の想像)をして開けさせたという神様であり、どうもそういった能力から芸能の女神らしい。方や猿田彦命(サルタヒコ)は道案内の神様として山に祀られているのだという。
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猿田彦命像 |
その後が気になりWebで調べてみると、神話では二神の結婚の記述はないようだ。しかし、風説としては結婚したと伝えられているらしい。アメノウズメのセクシーダンスにはさすがのサルタヒコも悩殺されたのかも知れない。
ということで、急に山頂のサルタヒコノミコトに会いたくなったのである。それにもう1つ、ついでに私に憑いている(と勝手に思い込んでいる)オツルミズコの霊も祓ってくれそうな気がしたのである。
数年前のある山行以来、駒に来て白沢ノ頭あたりからいつも調子が悪くなる。それをオツルミズコ(オツルミズ沢で遭難して見つからない女性がいるらしく、その霊に勝手に名前を付けた)のせいにしているのだが、今日は暑い1日だったが気持ちは今までと違いすっきりしていた。
追いかけてくる女を振り払うかのように、山頂のサルタヒコは、オカメノゾキの方に背を向け渋い顔で立っていた。
結局、アメノウズメにつかまってしまったサルタヒコの神通力が私に効いたかどうか、次回の駒ヶ岳が楽しみである。
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白沢の頭から |