メンバー:O(記)、〇み 出 合 7:10 標高900付近20m滝下 9:45 稜 線 12:10 荒沢山 12:20~12:40 出 合 14:00 |
晩秋、今年の沢登りの〆をどこにしようかとガイドブックで探していたら、登り4~5時間、下り1時間、しかも初級の沢があった。荒沢山に伸びている北カドナミ沢だ。
日の短くなった今頃には最適だが、「急峻で陰鬱=滑る」の方程式が自分の中にあり、なんとなく避けていた山域でもある。しかし、ガイドブックの「快適なスラブ登攀が楽しめる」との謳い文句(私は快適な登攀という言葉に弱い)と、カドナミ尾根を下りたかすかな過去の記憶の後押しもあり、2人で出掛けてみることにした。
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750m付近の20m滝 |
土樽駅付近の魚野川に架かる橋を渡り、越後中里に向かう道路に入る。出合はわかりにくく、行き過ぎてしまった。
出合は水量も少なく薮っぽいが、すぐ近くに数台分の駐車スペースがあった。
装備を着け、薮っぽい沢中を避け、左の杉林をしばらく行って沢に降りる。
予想通り暗く陰鬱で、岩はぬめっていて、時折ブッシュが行く手の邪魔をする。裏山の沢のような感じだ。
上部の快適なスラブ登攀を楽しもうと、アクアステルスを履いて来た為、滑らないように必死である。
登るにつれ10~20mクラスの滝が次々と現れてくるが、陽当たりが悪い為、どれも黒光りしており登攀意欲がわかない。
750m付近の20m滝は、比較的明るい滝だが傾斜がきつく、ホールドが細かい為、アンザイレンして左から取り付き右にトラバース気味に越えた。
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上部スラブへの取っ付き20m滝 |
その後も黒光りする緩い滝を慎重に越えていくと、暗いこの沢中とは対照的な、紅葉の眩しい稜線が見えてきた。そしてその稜線には乾いた「快適なスラブ」が伸びている。
はやる気持ちを抑えて進むと、Ⅴ字状に明るく開けた場所に出て、ようやく暗い沢から解放された。
どうやらここがスラブ登攀の取っ付きらしい。しかし、まずは正面に立ちはだかる20m滝を越えなくてはならない。
ガバホールドもあり簡単そうに見えたので最初フリーで取り付いたが、濡れた部分が悪く、途中にあった残置ハーケンにロープをセットし、〇みを上げる。
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上部スラブを登る〇み |
そのあとはもうアクアステルスのフリクションとブッシュの助けを借り、急傾斜のスラブ滝をどんどん登って行く。
乾いた岩場に最初は楽しかったが、上部に行くにつれ、滑落は致命的なほどの傾斜になり緊張感が増した。
取っ付きの滝といい、この急なスラブといい、とても初心者を連れて来れる沢ではないと思った。
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紅葉真っ盛り |
慎重にブッシュを選びつつ山頂左の細い尾根に出、10分の薮漕ぎで荒沢山に立った。
360度の紅葉に浸りつつ昼食を取り、カドナミ尾根を下る。
1200m付近でわかりにくい部分があり間違えるが、すぐに気づき、1000m付近まで下りると、薮も刈り払われ整備された登山道となった。
急ではあるが比較的歩き易く、1時間15分で南カドナミ沢出合の車道に出、車までは数分であった。
天気予報はあまりよくなかったが、青空に紅葉が映える晩秋の沢を満喫できた。今日も晴れ男パワー全開。