2012/4/8-9 真夜中の高石沢一周


高石沢を中心に時計回りに歩いた
月明かりの八海山

幻想的な月空漫歩
ヨモギ山直下
「満月」それはまん丸い月が真夜中の0時に南中(真南の位置)すること。それは即ち、ひと晩中月が出ているという事。そんな月明かりの下、稜線を歩いてみたいと思ったのはずいぶん前の事だ。

月明かりだけで歩くとなると、やはり雪明りとの相乗効果が期待できる残雪期、そしてほとんど天候に左右される為、状況を見てすぐ行動できる広い尾根を持つ近くの山が理想だ。

ルートはかねてから目を付けて、偵察しておいた水無川支流の高石沢を囲む標高1000m弱の尾根の一周に決めていた。しかし、「残雪期・満月・夜半快晴」この三拍子が揃う確率は極めて低い。

そのチャンスは思いがけなくやってきた。 前日まで真冬並みの雪が降って、予定していた会山行の駒ヶ岳鉱山道尾根が中止となった。しかし、昼前から空は晴れあがり、折しも昨日が満月で、今日はまだその明るさを失ってはいない。

東の空が白み始める明朝4時に帰って来る事とし、出発は今夜8時とする。 荒山の十二神社に車を置き、スノーシューで歩き慣れた林道を行く。ラッセルを心配したが、モナカ状態で足首が沈む程度。これならばなんとか一周して来られそうだ。

月は地平線からすでに出ているはずで、これから向かう稜線がかすかに薄明るくなっている。

ヨモギ山から下山してくる予定の尾根の合流地点を更に100m先に行って左の尾根に取り付く。
この尾根は初めてで一箇所狭い所があったが問題なく林道に出る。振り返ると丁度ヨモギ山から月が顔を出すところだった。
月が完全に稜線上に出るまで写真を撮ったりしてしばらく見入る。満月から一日経って右上が少し欠け気味だったが、辺りの雪面が仄明るく輝き始めた。

林道の屈曲点から尾根に取り付こうとしたが、法面が急で雪が落ちていて取り付けず、100mほど進み雪がつながっているところから取り付く。しかし、最初は良かったが八海山麓スキー場からの尾根に合流してびっくり。幅1m高さ1.5m長さ30mのまさにナイフの刃状の雪塊が行く手を阻んでいる。ヘッドランプで突破するにはあまりにも無謀。そそくさと戻り林道ルートからP950を目指し、左から続いている尾根に取り付く。

雪が落ちて切れ切れになりそうなところも、凍みた雪に助けられながら0時にP950に到達。先日の大風で思った以上に雪が融けており、この先を思うとここでやめようかと思ったが、「行けるとこまで行ってみるべ」の精神に切り替えると、魚沼の街明かりや月光に照らされた山々が、幻想的な雰囲気で見えてきた。

P950からは、少し下りトラバースして尾根に降りる。あまり広くないので湯之谷側の雪庇に乗らないように気を付ける。ルートが東向きから南向きに直角に曲がるピークからはブナ林の尾根が広がり、ヨモギ山へと続いている。ここからが本当に楽しい月空漫歩となる。

ヘッデンは必要なく日中とは違った静寂の世界を歩いて行く。木々はもちろん雪さえも眠りについているようだ。ただ1つ自分のスノーシューの音がうるさく煩わしい。アイゼンだけならこの雰囲気に合った歩きができるが、それでは苦しい月空漫歩となる。
途中のお気に入りの場所で夜食を広げる。薄雲に包まれた月は少し赤味がかり、中ノ岳の上から八海山に向かいながら三山を照らしている。

ヨモギ山直下の登りは急で所々クラストしている為、ここはアイゼンで登る。月は丁度ヨモギ山の真上で私を導いてくれている。
2時前ヨモギ山山頂に着く。月明かりの三山の眺めもまた素晴らしい。薄雲が濃くなりつつあり、月の明るさが失われる前に早めに下山し、まだ薄明前の3時過ぎに十二神社に戻った。