2014/4/16-17 真夜中の未丈ヶ岳



月の光には不思議な魅力がある。
2012年4月の高石沢一周では幻想的なムーンライトウォークで、月明かりと雪明かりの相乗効果に新たな魅力を見出した。 だが、その相乗効果が期待できる条件が揃う機会は少ない。

今回選んだルートは、銀山平から日向倉山を経由して未丈ヶ岳に至るルートだった。
今月初めに丸山スキー場に行った時、未丈までの白い稜線が目に焼き付いていたのが決め手だったが、日向倉からの経験はなかった。

16日の天候は薄曇りだったが、翌日の予報は晴れ。月齢も15日が満月だったのでまだ明るさは十分だ。
透明度の悪いすっきりしない空だったが、明日の晴天を期待して、まだ明るさの残る18時半に出発する。

雪面が軟らかい為、最初からスノーシューを履いて出る。取付は急だったが、すぐに緩やかになり、何とかヘッドランプを点けずに赤崩山からの稜線に立つ。
小休止の間に太陽と月の狭間の世界となった。

月はまだ東の山並みから顔を出してはいなかったが、地平線上から出てきたせいか空や辺りは薄明るくなり始めた。
これから先の雪の稜線も広くなだらかな様子が見え、ヘッドランプは点けずに歩き出す。

8時過ぎ、ようやく東の稜線から月が出てきて辺りが一気に明るくなりはじめる。
しかし、それも束の間、日向倉山に着いた頃は雲間から見え隠れするような状態。

今回、初めての、そして記憶にないほど遠い昔、スキーで歩いた経験しかなかったルートの為、月の明るさが不十分な状況では危険だと思い、ここで止めようかと若干迷うが、雪明かりのお蔭で、未丈の山頂やそこに至るルートも確認できて、これならと未丈に向かって行動開始。

日向倉山からは、一旦下り、ブナの樹間を抜けるが部分的に雪が無く、雪が無いと暗くて、この暗闇は意外と怖いものだった。
丸山スキー場分岐のピークへ登り返すと、このピークはかなり狭く、丸山スキー場へ向かう降り口は、雪庇のせいかかなり急になっているようで、危険を感じ近づく気にならなかった。

未丈へは急な雪面を下るとすぐ細尾根となり、ここの20m位の間は完全に雪が消えて露岩帯の薮になっており、スノーシューを脱いで通過する。
両側は転落すると下まで止まりそうもないような雪の急斜面で、ここは雪が消えていて良かった。
後は比較的緩やかで広い尾根を行くがこれがまた結構長く、なかなか目指す未丈に着かない。

ようやく山頂から500m位手前の平坦な地に着く。
目の前には未丈ヶ岳の山頂がどっしりと構えているが、ここから続くその直下には、短いが急な斜面があり、雪が落ちて黒々としている。
あそこを登る?無理。昼間ならともかく、写真も撮れない暗さの中ではと、躊躇なくここで行動中止とする。

まん丸い月が天頂から煌々と照らしてくれていれば、遠くの山々も幻想的に見えて、朝まで居たいような処だが、暖かい南風に天候の悪化を感じとり、たいした休憩もとらず引き返した。

この頃、月は雲に隠れていたが、雲が薄いせいかヘッドランプの補助で行動に不自由は無く、来た時の足跡を辿りながら帰路を急いだ。

不安は当った。
日向倉山から銀山平への下降点に向かう中間あたりで大休止をとっていると、駒ヶ岳の方向から風と共に雨粒が当たって来た。
雨具は着たが雨風はそれほどひどくはなく、下降点から下る頃には治まっていた。

3時前に車に着き、朝までシュラフにくるまった。
明るさと共に青空も広がり、その日は晴れの一日となった。

今回、丁度天候に恵まれない夜だったが、天候に恵まれれば、日向倉山までの稜線は広くて素晴らしい月空漫歩が出来そうだ。 おまけに日向倉の山頂は広くて展望が抜群であり、月見の宴も出来そうである。

来年の春、また来てみたいところとなった。今度は煌々と照らされた月夜の晩を期待して・・・。